にっきー
会社員のみなさんに読んでほしいニュースが、2019年10月21日に出ましたね。
2020年の春から、職場でのパワーハラスメント(パワハラ)防止策が企業に義務づけられます。パワハラを防止してくれる!となると、従業員としてはとっても嬉しいことです。
とはいえ、悩み始めたのが企業経営をする側です。
2019年5月に成立した改正労働施策総合推進法では、パワハラをこんな風に定義しました。
(1)優越的な関係を背景にした言動で
(2)業務上必要な範囲を超えたもので
(3)労働者の就業環境が害されること
つまり、自分より優越的な人から、業務に必要とはいえない範囲で就業環境を害されたら、パワハラなんです。
こういう風に、パワハラを「行ってはならない」と明記をしていますが、『罰則を伴う禁止規定』の記載は見送られています。
アドさん
にっきー
さて、今回注目してほしいのは、そんな風に「労働者を守ってくれそうだな〜」という動きがある中で発表された、「パワハラに該当しない例」です。
日本経済新聞では、2019年10月21日19:14にオンラインニュースでも『パワハラ「該当しない例」示す 厚労省が指針素案』という記事を掲載しました。
にっきー
アドさん
にっきー
パワハラの定義は?
厚生労働省は2019年10月21日に、【 職場でのパワーハラスメント(パワハラ)を防止するために企業に求める指針の素案 】を労働政策審議会(厚労相の諮問機関)に提示しました。
指針として、パワハラの定義や該当する場合・しない場合の例などを示したこの素案。
委員からは疑問や指摘が相次いでしまい、日本労働弁護団からは「パワハラの定義を矮小(わいしょう)化している」と抜本的修正を求める声明を受けてしまいます。
どうして批判や指摘や疑問が相次いでしまったのかというと、「こういう例はパワハラに当たらない」というガイドラインのようなものを含ませてしまったからです。
にっきー
アドさん
厚労省・職場のパワハラの定義
まずは、厚生労働省が出している「職場のパワーハラスメント(パワハラ)の定義」を見ておきましょう。
職場のパワーハラスメントとは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義をしました。
この定義においては、
上司から部下に対するものに限られず、職務上の地位や人間関係といった「職場内での優位性」を背景にする行為が該当すること
業務上必要な指示や注意・指導が行われている場合には該当せず、「業務の適正な範囲」を超える行為が該当すること
を明確にしています。引用:厚生労働省
上司や部下という関係だけでなく、「職務上の地位」ということも含めています。
アドさん
にっきー
「職務上の地位が上位の者による行為」については、このように説明されています。
- 同僚又は部下による行為で、当該行為を行う者が業務上 必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
- 同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの
アドさん
にっきー
小さな職場こそ、一人一人の関係や担当が大きくなっていて、こういうことが起こりやすいかもしれないです。
職場のパワーハラスメントの6類型
次に、職場のパワーハラスメントの6つの分類を見ていきましょう。
上記で定義した、職場のパワーハラスメントについて、裁判例や個別労働関係紛争処理事案に基づき、次の6類型を典型例として整理しました。なお、これらは職場のパワーハラスメントに当たりうる行為のすべてについて、網羅するものではないことに留意する必要があります。
1)身体的な攻撃
暴行・傷害2)精神的な攻撃
脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言3)人間関係からの切り離し
隔離・仲間外し・無視4)過大な要求
業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害5)過小な要求
業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと6)個の侵害
私的なことに過度に立ち入ること引用:厚生労働省
パワハラを6つのジャンル分けで示したわけですが、もちろんこのジャンル分けに属さないパターンもあります。その部分についてもきちんと「網羅するものではないことに留意する必要があります」と明記してあります。
にっきー
裁判でのパワハラ定義例
これまでにパワーハラスメントの問題は、裁判でも扱われています。
裁判によるパワハラ定義を調べて見たところ、このような表現をされていました。
パワーハラスメント(組織・上司が職務権限を使って、職務とは関係ない事項あるいは職務上であっても適正な範囲を超えて、部下に対し、有形無形に継続的な圧力を加え、受ける側がそれを精神的負担と感じたときに成立するものをいう、と一応定義する。以下「パワハラ」という。)
K事件(東京地判平21・10・15)【労判999号54頁】 、S事件(東京地判平20・10・21)【労経速2029号11頁 】 ※
裁判での判例なので、法的に問われることを考え、これを基準にしている会社も多いようです。
にっきー
パワハラの定義を確認したところで、ようやく今回の本題です。
厚生労働省が提示してしまった「パワハラに該当しない例」ってどんな内容なのでしょうか?
パワハラに該当しない例は?
さて、冒頭でもご紹介したように、厚生労働省が2019年10月21日に提示した【 職場でのパワーハラスメント(パワハラ)を防止するために企業に求める指針の素案 】。
パワハラに該当する場合・しない場合の例を示したわけですが、日本労働弁護団から「パワハラの定義を矮小(わいしょう)化している」と抜本的修正を求められたその内容は、いったいどんな感じなのでしょうか?
日本経済新聞のまとめ
厚生労働省が提示した「パワハラに該当しない例」のガイドラインを、日本経済新聞が分かりやすく表にまとめていました。その事例の表がこちらです。
故意ではなく過失として、例えば「誤ってぶつかった」場合は、パワハラではないそうです。その他にも、「育成のため」ということで高いレベルの業務をさせることや「できることをやろうね」っていう理由で業務内容を少なくすることはパワハラではないということでした。
アドさん
にっきー
こちらは、Twitterで「パワハラに該当しないガイドライン」を見た人たちの反応です。
にっきーの個人的な見方としては、「労働者への配慮を目的に、家族の状況などを聞き取り」と「過小な要求」はコラボされそうに感じました。
にっきー
にっきー自身、「配慮したいから聞いてんだよ」と、恋人関係のこととか、家族の状況とかを聞かれたことがあります。それを叱責のときに「親が〇〇な状況なのにお前はこんな感じでいいのか?あ?」みたいに言われました。
アドさん
「これはパワハラにあたらない」という項目が拡大解釈されることを懸念している日本労働弁護団が、今後どんな風に関わっていくのかも見ておきたいですね。
まとめ
今回は「パワハラに該当しない例」として厚生労働省が出した項目を、すでに定義されている内容と比較して見ていきました。
今までの裁判での判例での定義をみると、パワハラは「受け手が苦痛を感じたらパワハラ」でした。
しかしそれが「これはパワハラにあたらない」と明記されてしまったことで、変わるかもしれないという状態にあります。
にっきー
そんな風にしんどい職場に行き当たっている人は、特に今後の変化は、意識して見ておいた方がいいでしょう。
にっきー
逃げ道が全くない状態だと「仕事を辞めたいけど家賃すら払えなくなるし・・・やっぱり続けるしかないか」という状態になりかねません。
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いろいろと参考になりました。
私も職場(市の体育館受付)で言動についてLINEで注意されたのですが、注意される前に、ドアをバターンと勢いよく閉めたり、利用者さんの忘れたシューズを投げたりで、びっくりしました。
これもパワハラになるのですかね?
以前も口頭で注意されたのですが、一言、注意ならいいのですが、グチグチと20分くらい続いてきつかったです。
仕事上、再度、会って話し合う方がいいと上司が話してましたが、また、その後、グチグチ言われることなどが辛く、体調を崩し、その方が出勤の時は頭痛、吐き気、下痢、胸の締めつけがあり、行けなくなりました。
本当に辛いです。